死の徹底的な破壊と荒廃のあとに現れるのは、完全にバランスの取れた平和と調和です。
すべての概念は対極の概念があるから存在し、違いがあるからこそ結合すれば新たな素晴らしいものへと変わります。
男性性と女性性、活動性と受動性、火と水、愛と憎しみ……異なった性質の中間で融合させることで、すべてを超えた理解と新たな世界への扉が開くでしょう。
肉体と魂はそれを超越した存在へと変わり、意識と無意識さえも混ざり合い、自己と他者の境界線すらなくなり一つとなるため、次の段階へと昇っていくのです。
このカードを節制という言葉で捉えようとすると、ピンと来ない方も多いかもしれません。節制のカードは、足りないものは補われ、偏ったものは調整され、バランスの取れた一つのものへと融合していくことで、平和と発展がもたらされることを象徴します。
愚者の旅という視点では、節制の平和と発展は死者の魂の悟りと成仏のようなものでしょうか。現実を超えた領域での悟りは、正しいや間違いではなく、白黒つけようとする精神を捨て、概念を超えた新たな受容にあるという解釈ができます。